研究概要 |
本研究の目的は,片口法ロールシャッハ・テストにおける公共反応(以下,P反応と略記)の再検討をおこなうことである。被験者は非患者成人300人(男性=150人,女性=150人,平均年齢34歳)である。片口法の実施方法によりロールシャッハ・テストを個別に実施した。 その結果、現行のP反応リストにある反応と,新たに出現率が片口法の基準(6人に1人以上)に達していた反応の、計17の反応に関して,出現率と共に,反応の基礎概念,反応領域,反応位置について検討し、P反応の追加や削除,修正等の提案を行った。結果は,それらの反応を次の4つのグループに分類して示した。1)現行のままP反応として妥当な反応、2)P反応であるが,領域や位置等に関する修正が必要な反応,3)削除が適当と考えられる反応,4)新たにP反応となりうる反応,である。 1)現行のままP反応として妥当な反応 I こうもり、I 蝶または蛾、IV 毛皮類、V 蝶または蛾、VI 毛皮類 2)P反応であるが領域や位置等に関する修正が必要な反応 II 四足獣、II 人間、III 人間、V こうもり、VII 人間、VIII 四足獣、VIII 花 3)削除が適当と考えられる反応 VII 四足獣 4)新たにP反応となりうる反応 IV 人間像、VI 弦楽器、I 動物の顔、IV 怪獣 結果に関しては、さらに先行研究との比較を行うと共に,刺激特性の知覚の適切さや解釈仮説という点から考察を加えた。
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