研究概要 |
本研究の独創性は,自生的には西欧にのみ自生した国家というモダニティに焦点をあてるさい,「近代学校装置」(洋風学校建築)に焦点をあてた点にある。 初期明治政権は「学政」をもって,伝統的自然村に切りこみ,新奇な「装置」を建設することを求めた。それは在来のものではない,一つのモダニティであった。 この西欧の「装置」は,建築法の根本的変革を要求し,コストも相対的に高かった。旧村共同体は,否応なく,このモダニティ・プラントを建設することを強制され,その費用のために,自然村・旧村共同体は,その自足性を喪失し,次第に行政区の下地になっていった。 つまり,内容ではなく設備,西欧的教育のための装置が,自然村とその自立性を喪失させ,明治政権を主権とする国民=国家=民族形成すなわらネイション・ビルディングが完遂したのである。
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