研究課題/領域番号 |
11610256
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大塚 豊 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (00116550)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 中国 / ベトナム / 高等教育 / 市場経済 / 民営大学 / 民立大学 / 私立大学 / 授業料 / 理事会 |
研究概要 |
中国では、80年代に入って計画経済体制から「社会主義市場経済体制」への移行がすすむにつれ、これまで無償であった高等教育が有償になったことに象徴されるような「市場化」に伴う劇的な変革がなされてきた。加えて第9次5か年計画期(1996〜2000)に高等教育在籍者数を現状の約2倍にあたる650万人にするという発展計画の下に、さらなる高等教育拡張策がとられている。一方、ベトナムでも1986年に「ドイ・モイ」と呼ばれる刷新政策が施行され、諸般の改革が断行される中で、学費の徴収をはじめとする市場化、民営化の方向が明確になってきた。そして、両国とも高等教育を拡張し、学習機会をさらに広い層にまで拡げる手段として、社会主義体制の規制から従来顧みられなかった民間活力の利用に着目し、これを承認する方向に動いてきた。 そこで、本研究では、(1)中国とベトナムにおいて計画経済体制から市場経済体制への移行を生じせしめた社会的背景を明確にし、(2)研究代表者の専攻研究の成果を活かしつつ、市場経済化をめざす高等教育政策全体の中での非公立高等教育機関に対する位置づけを分析し、(3)非公立高等教育機関の教育や運営実態を明らかにするとともに、(4)非公立高等教育機関の出現とその教育の在り方が既存の公立大学や広く社会に与えた影響およびその教育学的意味を検討することを目指した。 こうした目的を達成するため、(1)中越両国で発行される新聞および教育専門誌の中から高等教育の民営化に関わる論文、論説、法規、記事を網羅的に収集、翻訳し、整理・分類し、(2)第一、第二年次に中国およびベトナム調査、第三年次にベトナム調査を実施し、両国各地の教育行政機関ならびに民営・民立大学を訪問調査し、担当行政官、学長、教務責任者を初めとする関係者に対するインタビュー調査を行い、情報の蓄積を図った。 こうした調査研究を通じて、(1)国の高等教育システムに組み込まれている度合いは、ベトナムの民立大学のほうが中国の民営大学より高く、(2)政府と非公立大学との関係については、ベトナムでは統制のみで支援はほとんどないのに対して、中国ではかなりの公的支援が認められ、また「民営公助」の方式のほうが成功するケースが多いことなどが解明できた。 研究成果は各年度とも雑誌等で公表するとともに、日本比較教育学会の年次大会や東北大学教育学部附属大学教育開放センター研究集会等の機会に口頭発表してきた。
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