研究課題/領域番号 |
11610329
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
稲畑 耕一郎 早稲田大学, 文学部, 教授 (30063803)
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研究分担者 |
和田 修 早稲田大学, 文学部, 助教授 (20240541)
橋本 裕之 千葉大学, 文学部, 助教授 (70208461)
細井 尚子 立教大学, 社会学部, 助教授 (40219184)
稲葉 明子 早稲田大学, 人間科学部, 講師 (50298197)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 中国 / 仮面劇 / 儺戯 |
研究概要 |
私たちは、近年注目されることの多くなった中国全土に残る<仮面劇>が、中国演劇史はもとより中国大陸全体における「基層文化」の生成・発展・変化およびその特質を考える上で重要な意味をもつと考える。その具体的な調査は、1980年代以降、いわゆる「儺戯」研究として中国国内の研究者によるフィールドワークが開始された。次いで、台湾『民俗曲芸』誌における儀式・儀礼研究や日本の後藤叔・廣田律子等の個別的な調査などを経て、田仲一成『中国演劇史』が発表されるに及び、農村の儀式・儀礼とそれに伴う<仮面劇>は、ようやく一定の研究ジャンルとして認知された感がある。こうした研究の成果をふまえ、次の段階としては、儀礼や舞踏・唱詞の構造研究といった、テーマ毎により深化した分析を進める一方で、これまでにはない新しい視点、たとえば地下から発掘される古代の遺物などとの対照を通して、通時的な「基層文化」の跡付けといった方向への展開が考えられよう。本研究はそうしたことを視野に入れた第一歩である。 貴州民族学院の瞠修明は当初より海外協力者として現地調査のコーディネートを担当するが、ここでは過去十余年の貴州省内の調査の実績をふまえて「西南儺戯概述」として西南地区を俯瞰する。また同学院の陳玉平らは地域社会にとっての民間儀式儀礼という角度から黔北地区灘戯について独自の論を展開している。日本側稲葉は数回にわたる安順地区調査と現地研究者との研究交流から、安順地戯の歌詞・歌唱の構造について「唱書調」と「演出調」の別のあることを新たに指摘する。また、現地協力者である籔潭県儺戯研究会・道真県民族宗教事務局からは、現地における貴重な資料の提供を受けた。 「基層文化」という着想は漠然としがちであるが、広大な中国大陸における各地域ごとの実態の解明が、この地の長い歴史をもつ諸文化の成立・発展やその特質の解明につながるものと考えている。本研究では2年という限定した期間を設定し、具体的な資料の収集とともに、各々のメンバーがそれぞれの問題意識の中で、<仮面劇>にかかわる重大なテーマを着実に解決することを心がけた。今後とも一つ一つの成果を積み重ねていくことにより、その全体像を明らかにしていきたいと考えている。
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