研究課題/領域番号 |
11610402
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 神田外語大学 |
研究代表者 |
柳沼 孝一郎 神田外語大学, 外国語学部, 教授 (00239732)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 土地測量会社 / メキシコ金星天体観測隊 / 日墨修好通商条約 / コーヒー栽培 / 榎本武揚メキシコ殖民 / オアハケーニャ砂糖耕地 / 契約移民 / 移民会社 / 未懇地拓殖法 / チアパスの日本殖民地 / 榎本メキシコ殖民 / メキシコ・ディアス政権 / 近代メキシコの殖産興業政策 / 近代メキシコの殖民政策 / 榎本メキシコ殖民団 / 日本人メキシコ「契約移民」 / メキシコ日系社会 |
研究概要 |
メキシコのディアス大統領は長期安定政権の下で産業開発を図り、「鉱山法」や「未墾地開拓法」を制定し、外国資本および外国移民を積極的に導入した。とりわけ外資系の「土地測量会社」に未墾地の開拓を委託し、鉱山やコーヒー栽培地、砂糖耕地、綿花産地を開発し、積み出し港と連結する鉄道を建設し輸出振興を図り未曽有の経済成長を遂げた。近代メキシコの産業開発と未墾地開拓は外国資本に依存する形で、慢性的に不足する労働力を外国移民で充足させる移民奨励策のもとで推進された。 日本においては、農村部の貧農層や都市部における困窮民の救済問題や人口急増が顕在化し、問題解消の方策として海外移住殖民が提唱された。のちに来日した「メキシコ金星天体観測隊」を機に、1888年に平等条約「日墨修好通商条約」が締結され、国家的事業として実践されたのが、メキシコ南部チアパス州ソコヌスコ郡エスクィントラにコーヒー栽培に立脚した日本人殖民地を建設する「榎本武揚メキシコ殖民」であった。 以降は、東洋汽船会社の南米航路就航を機にメキシコ移民が促進され、明治32(1899)年から日米紳士協定の締結にかけて、メキシコ南部オアハケーニャ砂糖耕地、中部のメキシコ中央鉄道コリマ線敷設工事、北部のコアウィラ州のラス・エスペランサス炭鉱およびフエンテ炭鉱、ボレオ銅山またブラック・マウンテン金鉱山、米国との国境地帯の綿花栽培地などに計10,958人の日本人労働者「契約移民」がメキシコに渡航した。その約80%にあたる8,697人が「移民会社」の斡旋によるものであった。 日本人のメキシコ殖民構想は、日本側の急増する人口問題と、メキシコ側の労働人口不足問題が補完しあう、すなわち労働移民を送り出す日本側と、受け入れ側のメキシコの利害が一致する中で、ディアス政権の産業開発および拓殖政策に日本人労働移民が組み入れられる形で実践されたのである。
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