研究課題/領域番号 |
11610422
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
考古学(含先史学)
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研究機関 | 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所 (2001) 奈良国立文化財研究所 (1999-2000) |
研究代表者 |
川越 俊一 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 平城宮跡発掘調査部, 考古第二調査室長 (20090376)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 東アジア / 砲弾型ガラス坩堝 / 勾玉用鋳型 / 小玉用鋳型 / 鉛ガラス / アルカリガラス / カリガラス / ソーダ石灰ガラス / 砲弾形ガラス坩堝 |
研究概要 |
この研究は、3年度をかけて古代東アジアにおけるガラス生産を、原料、生産用具、製品の側面から総合的に把握することを目的とした。初年度はガラス生産や玉類の製作に必要な遺物の実態を把握するために、砲弾型ガラス坩堝や小玉製作鋳型の資料収集を行った。次年度は、玉類を中心とするガラス製品の出土例についての資料収集、分析整理を進めた。最終年度は、ガラス生産と最も関係の深い鉛ガラス釉を用いた鉛釉陶器の出土実態について分析を行った。この結果、古代東アジア、特に日本と韓国においては、砲弾型ガラス坩塙は6世紀から8世紀におよぶものが国内で20遺跡、韓国で3遺跡から出土している。いずれも鉛ガラスの生産用であるが、時期的には韓国出土例が先行し、百済地域だけでなく新羅地域からも出土している。小玉用鋳型は、国内では古墳時代前期(4世紀)から奈良時代(8世紀)に至るものが20遺跡から出土し、韓国では5遺跡が知られる。時期的には韓国出土例が先行し、さらに鋳型そのものが韓国から搬入された可能性のあることを抽出できた。また、日韓出土のガラス製品を比較した場合、新羅の古墳出土ガラス容器を除けば、基本的に製品の種類は玉であること、使用されるガラスの種類は時代が新しくなるに従って、鉛バリウムガラス(鉛ガラス)、カリガラス、ソーダ石灰ガラス、高鉛ガラスへと両国で同様に変化しており、極めて共通性の高いことが確認できた。ガラス生産と密接に関連する鉛釉陶器について、鉛釉は、まず瓦などの器物に用いられ、その後容器に応用されるという共通性がある。 以上、ガラス坩堝・小玉鋳型の形態、使用されるガラスの種類の変遷、鉛釉陶器の出現状況などについて、日韓両国では極めて共通性の高いことが明らかになった。従って、我国古代のガラス生産技術は、新羅か百済かは別として、6世紀末から7世紀にかけて朝鮮半島から直接もたらされたものと推定される。 しかし、その源流は中国にあるものと想定される為、中国大陸出土のガラス製品およびガラス生産用具、鉛釉陶器関連の資料収集を行い、古代東アジアにおけるガラス生産の技術体系を明らかにしていきたい。
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