本年度は、関連遺跡データベースの作成を主目的とした。すでに試験的に作成したデータベース、書籍・論文など既存の公表資料から、基礎データベース作成作業を進め、ロシア極東の約80個所、中国東北部の約60個所をリストアップした。地理情報をそれに付加するため、旧ソ連製の中国・ロシアの縮尺20万分の1地形図を入手し、地形、緯度・経度・高度などの情報を加えつつある。地図や図面・写真などをデジタル化し、データベースに組み込むべく検討中である。 同時に、関連文献データベースの作成を進め、現在、日本、中国、ロシア、北朝鮮、モンゴルなどの関連諸国の文献を約600点入力した。いずれ、両データベースを結合し、遺跡を選択すると関連文献を容易に検索できるシステムを構築する予定である。 さらに、近年新たに発見された遺跡の情報を得るため、ロシア科学アカデミー歴史考古民族研究所の協力を得て、高地性集落・防禦集落などのロシア沿海地方の遺跡踏査、さらに研究所と極東国立大学歴史学部の考古資料を実見した。遺跡においてはGPS受信機などの機器を用いて、地理情報を測定し、約20個所の遺跡データを得た。このデータについては地形図ソフトウェアを用いて、分布図作成・データ処理を行った。 データベース作成・データ収集と平行して、各遺跡出土資料に基づいて基本資料である土器編年の作業を進めており、同時に極東に広く分布する帯金具の編年・分布について分析し、論文にまとめた。
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