研究概要 |
英語において、出来事は「始点」、「核」、「終点」という3つの時間的に連続する側面から構成されているという認識(Freed 1979,Voost 1988)を出発点に、結果すなわち終点の解釈が関わってくるいくつかの表現を比較検討しながら、to shoot NPなど「終点までを含む表現」は、「終点が焦点になっている」こと、「終点を含まない表現」にはto kick at the doorのように「核(=過程)が焦点どなっている表現」とto stop a person (from) doing「終点を含まないことが焦点になっている表現」との二つがあること、終点を含まない表現には終点に向かう行為がどの時点で中止されるのかに関して「始点以前での阻止」(to stop a person from swimming泳ぐ前にやめさせる)と「核の途中での中断」(to stop a person swimming泳いでいる人を途中でやめさせる)とがあること、「終点(=結果)の含意」の連続的段階性(gradience)(cf. Bolinger 1976,1977)には、(i)語彙のレベル、(ii)語彙と構文の相互作用によるレベル、(iii)構文の形式によるレベルの3つのレベルがあり、それぞれのレベルのおいて連続的段階性が観察されることを例証した。核から始点へ、核から終点へという意味の拡張は、メトニミーという思考認識形態によるものであり、名詞化形の意味を含む様々な例にも観察されることを立証した。「核から始点へ」より「核から終点へ」の拡張が優勢であるのは、時間の流れと話し手の身体性にその理由があると論じた。本研究は、終点(=結果)の含意を糸口に行われたが、「出来事の構造とその統語的反映」という広範で本質にせまる図像性研究への足がかりを示している。
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