研究課題/領域番号 |
11610486
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
英語・英米文学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高田 康成 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10116056)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1999年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
|
キーワード | 古典 / ホメロス / ロバート・ウッド / アレクザンダー・ポウプ / 独創性 / 天才 / 起源 / 口承伝統 / アレグザンダー・ポウプ / セネカ / ルネサンス / ストイシズム / パードヴァ / プロト・ルネサンス / ムッサート / エチェリーノ |
研究概要 |
今年度は、昨年に行った「新旧論争」の検討を受けて、特に英国の18世紀に、「古典」の言説が如何に形成あるいは変化していったかを検証するために、ロバート・ウッドという古典研究家(ホメロス研究)に焦点を当て、その著作および現地報告の影響を主に考察した。ウッドに先立って、英国でホメロス研究の状況はどうかといえば、詩人のアレクザンダー・ポウプ(『ホメロス試論』)に代表されるような、天才ホメロス賛美の半ば神話的な言説がまかり通っていた。それに対して、ウッドは実証的な見地に立って、自ら2度ギリシャ旅行を試み、その体験に基づき『ホメロスの独創的才能に関する試論』を著し、古典作品に描かれた世界と現実の場所とを同定しようとした。この場合「独創的才能」とは、風土や地誌的情報を正確に描写することであり、時間軸を無視した模倣論を原則とする。しかし、模倣真理説原則を推し進めるうちに、吟唱詩人の口承詩伝統に遭遇することになり、この集団的創作の伝統はロマン主義的な近代の天才詩人「ホメロス」神話を打ち破ることになる。さらに、口承から書記化への経緯といった問題が登場し、テキストの成立と、それと表裏をなす「起源」への到達不可能性という本質的問題に直面することとなった。かくして、「古典」はテキストという媒介と本源への到達不可能性という言説へと変貌した。
|