研究概要 |
本研究では,関連性理論,及び認知文法の観点から,談話における強調構文の機能的・語用論的特性を明らかにしながら,英語と日本語の談話における強調構文の原理を解明すること,及び英語・日本語の談話における強調構文のデータベース作成をその目的として掲げた.具体的な研究成果の概要は次の通りである. 1.日本語の強調構文,とくにガ分裂文に関する先行研究を渉猟し,それぞれの不備を指摘した上で,ガ分裂文には関連性理論における前景情報と背景情報が密接に関与していることを具体例を挙げながら例証した.この成果を加藤(1999)[International Journal of Pragma tics vol.9所収]として発表した. 2.関連性理論の観点から,ガ分裂文が談話内で果たす機能と関連性理論との関わりを検討し,ガ分裂文は前景情報と背景情報を担っていることを明らかにした.そのうえでガ分裂文は前項前景文,後項前景文,前景文の3種類に分類されることを提案した.さらに,ガ分裂文の機能と認知効果,及び処理労力との関連性を論じ,ガ分裂文の談話機能を明らかにした.これらの成果をKato(2000)[UCL Working Papers in Phonetics and Linguistics vol.12所収],及びKato(2001)[『意味と形のインタフェース』(くろしお出版)所収]として発表した. 3.言語資料の収集と分析については,主に日刊紙(読売新聞、毎日新聞),和雑誌(アエラ),及びBrown Corpus,Lund Corpus,LOB Corpus等の電子コーパス(言語資料集)から強調構文を含む文章を収集・分析し,キーワード検索ができるように処理をした上で,データベースソフトを用いて談話における英語,及び日本語の強調構文の電子データベースを作成した.
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