研究概要 |
米国の清教徒主義の影響を強く受けた19世紀の小説家Herman Melvilleの代表作Moby-Dickの翻訳を完成させ、講談社文芸文庫より刊行した。また、同書上巻に解説「暗示でしか語りえぬもの」を書き、また、下巻には「メルヴィル年譜」を書いた。週間朝日百科33巻に「エイハブ船長の悲劇」を書いて、この小説の重要さを説明した。また、「自由と欲望の巨影-新訳『白鯨』をめぐって-」と題した対話を小説家・近畿大学助教授奥泉光氏と持ち、雑誌「群像」に掲載した。また、昭和女子大学英文科特別講演に招聘され「『白鯨』について」という題で講演し、つづけて日本アメリカ文学会東京支部研究発表として「翻訳のアポロジー」と題した口頭発表を行った。また、同タイトルで別研究論文を執筆し論集『アメリカ!』(八木敏雄編2001年5月刊行予定)に発表した。「『白鯨』が執筆されたアローヘッドにて」という紀行文を雑誌「インポケット』に発表した。メルヴィル晩年の物語詩『クラレル-聖地における詩と巡礼-』については、同書を翻訳出版された聖学院大学教授・須山静雄氏と「上へ墜落する勇気を-大著『クラレル』邦訳刊行によせて」と題した対話を持ち、週間「図書新聞」に掲載するとともに同書の出版広告パンフレット(南雲堂刊)に「石と光と泉と」を発表した。なお、米国清教徒主義研究の大御所ペリー・ミラーの残した逸話をもとに「V.O.A.の源?」なるエッセイを発表した。日本の近代文学における倫理主義をめぐっては、小島信夫著『うるわしき日々』講談社文芸文庫に「慟哭の道化」と題した解説を書き、当該作品の宗教性とアメリカとの関係を論じた。また、「キリスト教思想と日本の思想--内村鑑三、正宗白鳥、小林秀雄--(Christian Ideals and Japanese Thinkers:Uchimura Kanzou,Masamune Hakuchou,Kobayasi Hideo)」、「明治の作家とジェンダー(Writers of Meiji Japan:Natsume Souseki,Higuchi Ichiyou,Tokuda Shusei,Oguri Huuyou)」の講演を米国マサチューセッツ州スミス大学にて行った。
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