研究概要 |
1984年に発足したA Chaucer DictionaryとA Chaucer Grammarの作成を究極の目標とする研究事業は,1991年にA Complete Concordance to the Works of Geoffrey Chaucer(全10巻)(Chaucer Concordanceと略記)を,1994年にA Rhyme Concordance to the Poetical Works of Geoffrey Chaucer(全2巻)をそれぞれ刊行した.これが第1段階であるが,第2段階ではChaucer Concordanceの「見出し語化」によるA Lemmatized Concordance to the Works of Geoffrey Chaucerの作成に専念し,辞書と文法の作成を平行させてこの事業を推進してきた.「見出し語」を進める過程でLemmatized ConcordanceはLexical ConcordanceとGrammatical Concordanceの2種類に分割し,文法項目は語彙項目から独立させるべきとの結論に達した.第3段階として,これを発展させA Chaucer Dictionaryの編纂に着手し,これと平行してA Chaucer Grammarの構想を実現させるためにGrammatical Concordanceの準備を進めてきた.平成11年(1999年)度に実施した研究はLexical Concordance, Volume One : A-LおよびVolume Two : M-Zの大幅な増・改訂である.具体的には,(1)辞書項目における新しい研究成果の導入と再点検,(2)文脈の明示と綴り異形の重視のための用例の追・増加,(3)文法項目における高頻度語,とりわけ機能語(function words)の組織的分析である.(3)の作業はA Chaucer Grammarを創出する基盤となりデータベースの役割を果たすことになる.平成10年(1998年)・11年(1999年)度における研究事業の集大成としてA Lexical Concordance to the Works of Geoffrey Chaucer(全5巻)を刊行することになった.すでにA Lexicon to 'Boece'作成に着手しているが,これによりA Chaucer Dictionaryの雛型・理想型が創出されることになる.
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