研究課題/領域番号 |
11610508
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
英語・英米文学
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
入子 文子 関西大学, 文学部, 教授 (80151695)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 『緋文字』 / 17世紀英国 / 文化表象 / ルネッサンス / ホーソーン / 古典的<メランコリー> / 黒 / ロバート・バートン / 許されざる罪 / 死の慣習 / <許されざる罪> / 緋文字 / 17世紀英米文化 |
研究概要 |
19世紀の作家の例に漏れず、ホーソーンが歴史家顔負けの第一史料の読み手であったことは、コラカチオを初めとするニュー・ヒストリシズムの批評家たちも指摘する所である。17世紀アメリカを舞台とする『緋文字』においても歴史的解釈は盛んである。けれども従来の歴史的批評には(1)アメリカ性の強調は顕著だが英国への目配りが欠けている。(2)歴史的観点とはいえ、政治や宗教など理論に偏り、具体的事物である文化表象は等閑視されている。これではテクストの正確な読みはできない。 当研究は、「楽しいイングランド」をひきずった「イギリス生まれの」「イギリス人」からなる、『緋文字』第一世代のピューリタンたちの持ち込んだ17世紀英国の豊かな文化表象に焦点を当てた。またアメリカの都市の歴史をヨーロッパの都市とのつながりで見ることにより、『緋文宇』解釈にこれまで気づかなかった一側面を強く意識するに至り、筆者のこれまでの研究を同じ方向へ、さらに深く進展させることとなった。特にルネッサンス人を惹きつけてやまなかった古典的<メランコリー>の図像を主要登場人物に見ることで、従来のピューリタニズム一辺倒では読みとれなかった「黒」に、新しい意味のベクトルをひらいた。従来の研究に当該研究成果を加えて『緋文字』論を世に出すことが残されている。 今後は『緋文字』以後のロマンスへと研究対象を広げる。読みの方法も基本的には同じだが、イギリスだけでなくより広範な地域の文化表象に目配りし、ホーソーン言うところの「ロマンス」の本質を明らかにし、ホーソーンの望む読み手となることを目指すことになろう。
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