研究課題/領域番号 |
11610514
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
仏語・仏文学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 淳二 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (30282544)
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研究分担者 |
田村 毅 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90011379)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | フランス文学 / 身体 / ディスクール / 顔 / 意味 / 18世紀フランス / ルソー / ネルヴァル / 物語 / 18世紀 / 主体 / ディスクール分析 / ロマン主義 |
研究概要 |
本研究において主題的に問題となっているのは、人称の同一性、語のまったき意味でのそれ、であるが、同一性の中断なき時間軸上の進展が「ディスクール」である。このディスクールと「身体」は日常的には平行的に共存しているが、時として同一性を中断する撹乱要因として身体が現れる。このような身体の働きをシンボル化しているのが、仮面である。仮面は人工的な身体として自己同一性を中断し、これによって人に自由を与える。ここで、意味の中断が生じるが、それは仮面の新たな制作によって回復される。従って、近代は、意味を維持すること、すなわちディスクールの維持を、仮面から仮面へと移り行くことによって可能としてきたのであり、またそれ以外に「意味」を維持することはできないであろう。問題は、しかし、啓蒙の理想すなわち仮面の完成を目指すということではない。ここで非常に現代的な問題が姿を現すことになる。そのような問題の現れとして、ジャコメッティとジュネによる仮面をはずすその瞬間の孤独の探求を考察することとなった。これは無意味の経験である。仮面をはずし、別の仮面をつけることを認めるしかないのだが、次の仮面をつけようと仮面をはずすその瞬間だけが、真実の通過する瞬間であると認めなくてはならない。そして十八世紀のルソーの孤独の本当の意味は、この仮面をはずす瞬間をはぐらかされ、その可能性があらかじめ盗み出されているという点にある。この顔を奪われることによって、ルソーはすでに極めて現代的な状況を生きていたということが、この研究の成果として明らかとなったところである。
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