平成11年度から12年度にかけて、動詞の過去形・命令法・接続法の形態規範の分析を行なった。動詞の形態の多様性はリトアニア・ベラルーシ年代記の特徴の一つであるのだが、文献によってその多様性には違いがあることが明らかとなった。しかし、人称語尾の形式が統一されることによって、二つの基本的な過去時制の対立(アオリスト/未完了過去)が解消され、語幹形式のみによるアスペクト対立(完了/不完了)が一般化するプロセスが進行していたことも確認された。この現象は同時代の文法書の記述にも反映されている。しかし、法(特に接続法)にかんしては文法書に記述されているほど複雑な形態規範が年代記に見られることは稀であった。 平成13年度は名詞類(名詞・形容詞・代名詞・数詞)の格語尾にかんする形態規範を研究した。補助的資料としてテキストの電子化を進めていた法律言語との比較も行ない、少なくとも名詞にかんしては格語尾の形態規範がかなり安定していることが明らかとなった。
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