研究課題/領域番号 |
11610557
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
言語学・音声学
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
渡邉 政憲 (渡邉 正憲) 鳥取大学, 教育地域科学部, 教授 (90032325)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2002年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 手話 / 日本手話 / 音声対応手話 / 聾(ろう) / 聾者的実存 / 聴者 / コミュニケーション / ドイツ手話(DGS) / 聾者 / ドイツ手話 / アメリカ手話 / オーストリア手話 / 国際手話 / 音声言語 / 手話コミュニケーション / 言語的少数派 / 聾と聴 / 音声言語対応手話 / 手話コミュニケーション論 / 日本語と外国語 / 心理・認知言語学 / 聴覚障害 |
研究概要 |
研究の副次的目標が3つあった。それは(1)聾者の共同参加、(2)筆者の手話運用能力、(3)外国機関との共同研究体制。(1)は従来の野崎美智代氏に続いて、今本由紀氏(生来聾)の研究補助を獲得した。(2)は聾者と手話で行うことにほぼ問題がなくなった。(3)は独墺の5地域の大学及び研究機関との交流を発展拡充させた。 筆者独自の考えにより、手話の特性を10種類に分けて提起した。それは(1)文法性、(2)造形性、(3)音声言語対応性、(4)可逆性、(5)同時性、(6)空間性、(7)複合性、(8)同型異義性、(9)異型同義性、(10)非手指動作性である。この言語要素は世界の手話に共有する。それを立証することで手話によるインターナショナルな交流に貢献できる。筆者は共通性を立証するために、要素の4つについて日本手話とドイツ手話との比較を論文に著した。また、「造形性」における「原義手話型」を措定し、そこに聾者の文化慣習的、そして、人間実存的な背景があることを明らかにした。その際に、日、独、墺、米、国際手話(Gestuno)の5つの手話を対象とする斬新な試みをした。手話画像は野崎氏の筆による独自性を出し、著作権問題を消滅させた。他方、「日本手話」と「音声対応手話」の対立的な統語論上の緊張関係を現実の日本の実相に合わせて、両者を平衡させ共存させる論考を実証的に著した。「標準手話」に潜む危険な認識に警告する先駆的な試論と自負する。 研究は聾者への還元、聴者の啓蒙につながる実践であることに立脚している。この意味で、大学院と専門学部の講義を開設した。地域と国際への還流として、国内(鳥取)と国外(独墺)での講演を行い、多くの聾と聴並びに専門家の聴講を得た。14年夏には、ミュンヘン大学のLeonhardt教授を招聘して共同研究を実施した。女史の立場は補聴器や人工内耳による聾教育にあり、筆者の手話コミュニケーション論の視座とは異なるが、ここにも「対立」ではなく「平衡共存」を重視する筆者の基本姿勢がある。つまり、聾、難聴者と聴者の共存をはかるためにはすべての立場を動員することであり、不毛な学者論争の圏外にあるとする行動認識である。
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