研究課題/領域番号 |
11620002
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎法学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松村 良之 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80091502)
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研究分担者 |
林田 清明 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (50145356)
長谷川 晃 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90164813)
太田 勝造 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40152136)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 矯正的正義 / 応報的正義 / 分配的正義 / 平等 / 効率性 / 組織 / 責任帰属 / 組織体逸脱 / 独占禁止法 / 負債 / 企業組織論 / ゲームの理論 / 取引費用の経済学 / プリンシパル=エイジェンシー |
研究概要 |
法哲学の観点からは、社会における基本的ユニットに対する責任の帰属は、しばしば矯正的正義の問題として考えられるが、より根元的には負財の分配的正義の問題であると捉えることができる。このような角度から見るとき、焦点となる社会的ユニットが個人であれ組織であれ、あるいは個人と組織との関係であれ、それらの責任帰属の問題は、一定の公共的な価値規準をもとにした責任の分配の問題として捉えられることとなり、それ故また、このような形の問題設定が行える限り、個人と組織の責任バランスの問題は自由、平等あるいは効率性といった公共的な価値規準に基づく負担の分配の問題と同列に論じうることとなるのである。以上のような議論をふまえて、さらに、法心理学の観点から責任帰属が問題となる組織体逸脱の例として、独占禁止法違反を取り上げ、課徴金納付命令を受けた事業者を被験者として郵送調査を行った。データの分析から、日本においては責任帰属は拡散的であり、個人に責任を帰属させることは好まれないこと、それゆえ、処罰された個人には非常に同情的であること、組織の大規模化・官僚化にともない個人責任が優越してくるということは見られないこと、しかし組織にとっての打撃などが大きいときには、特定の個人に責任を帰属させるという外部帰属の傾向が出現することが示唆された。さらに、法と経済学の観点から取引費用の経済学、プリンシパル=エイジェンシーなどのモデルによりつつ、組織の逸脱行為とそれに伴う損害ないし不法な行為の発生が考えられる局面における組織と個人にかかわる法的責任のあり方を検討した。取引面については組織の情報が一定程度開示されず、便宜主義的行動をとる場合について、そして、企業自体や機関・代表者の責任・代位責任論については個人責任と組織・団体の責任が交錯する場合を念頭において分析した結果、個人責任と組織責任について両義的な結論が得られた。
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