研究課題/領域番号 |
11620003
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎法学
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
松尾 弘 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 助教授 (50229431)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 中国土地法 / 土地管理 / 土地担保金融 / 農地 / 土地法 / 私的所有 / 土地権原 / 登記制度 / 土地所有権 / 開発法学 / 社会発展 / 良い政府 / 法と開発研究 |
研究概要 |
イギリス土地法を継受した(1)オーストラリア、(2)香港、およびオーストラリア法を継受した(3)シンガポール、(4)タイ、(5)マレーシアでは、土地の私的所有が法的に保障され、これが比較的高度の経済成長に結びついた。その因果関係の態様は、各国の個別事情に規定されて極めて複雑であるが、概して、土地権原が、形式的な登記制度に比較的正確に反映され、それが土地の売買、担保権設定等における取引費用を大幅に引き下げた。その結果、これら諸国では、土地取引および土地担保金融の量が相対的に大きく、それが農業、製造業等の生産性、および国内投資の量の増大に寄与した。それにより、土地関連の税収が増大し、それが国家および地方公共団体の財政に占める相対的割合が大きい。それが、他面では、土地に対する慣習的、共同体的利用形態を相当大幅に整理し、伝統的土地所有観念との間にギャップを生じさせたまま、強力な土地制度改革を実行しえた財政的基盤になるという、一種の循環を生じさせた。これらの諸国に比べると、(6)中国では、土地の使用権の設定および譲渡の承認という形で、1980年代から次第に土地利用権の実質的私有化が始まったが、土地使用権の設定に関する一級市場および土地使用権の譲渡に関する二級市場ともに、まだ十分に整理されていない。また、耕地流失、環境破壊等を懸念して、中央政府が土地使用権の設定を抑制する一方で、地方政府は、土地使用権設定による対価収入と経済効果を期待して、それに積極的であり、対価分配をめぐっても、中央政府と対立している。かかる状況下で、土地価格は急上昇した後に、急落する地域もあり、不安定である。そのため、土地担保金融は十分に発達しておらず、貸出額、金利、融資期間とも借手にとっては比較的制限的で、土地権原の私有化による潜在力に見合うだけの投資には結びついていない。
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