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自白の供述分析に関わる心理学的研究(仁保事件・八海事件を中心に)

研究課題

研究課題/領域番号 11620067
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 刑事法学
研究機関花園大学

研究代表者

浜田 寿美男  花園大学, 社会福祉学部, 教授 (50113105)

研究期間 (年度) 1999 – 2000
研究課題ステータス 完了 (2000年度)
配分額 *注記
500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
キーワード虚偽自白 / 強制-迎合型自白 / 証拠なき確信 / 謝罪追及型取調べ / 相互誘導 / 心証形成 / 自白の任意性 / 強制-自己同化型自白
研究概要

本研究では1950年代前半に山口県で起こった二つの殺人事件について、その捜査から裁判の過程でどのようにして事実誤認が生じてしまうのかを、自白に焦点をあてて、個々に実証的な研究を行った。
まず捜査の過程においては、取調官の姿勢が有罪を前提にした謝罪追及型のものになりがちである点が問題となる。仁保事件の取調べ録音テープはこの謝罪追及型の危険性を如実に示すもので、被疑者はこの取調べの下で、自分がやっていないことは分かっていながら自白せざるをえない心理になっていく。それは強制-迎合型自白の典型である。またそのなかで「自分が犯人になったつもりで考える」という倒錯した心理状況が作り出されていくことが、文字どおりのかたちで記録化されている点も注目される。そこで生み出される自白は、言わば取調官と被疑者との合作である。八海事件では強引な拷問的な取調べによって虚偽自白が取られているが、そこでも自白が両者の合作であることは、真犯人の自白の変遷と他の被疑者たちの自白が互いに相互誘導しあっている事実から明らかである。
ところが裁判でこの虚偽自白の過程がなかなか暴かれない。裁判官はその心証形成のなかで、自白のもつ危険性を十分に警戒していないことが少なくない。自白だけでは有罪判決を下せないとの法的な枷があるにもかかわらず、自白はしばしば裁判官の心証を大きく動かしてしまう。二つの事件の判決はいずれもこのことを示している。とりわけ八海事件第一審裁判長の裁判官が著した二冊の書物は、その心証形成の過程に「証拠なき確信」が深く入り込んでいた。
これを予備的な研究として、さらに詳細な本格的な研究によって、事実認定のなかに心理学的な分析の視点を定着させることが望まれる。

報告書

(3件)
  • 2000 実績報告書   研究成果報告書概要
  • 1999 実績報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] 浜田寿美男: "仁保事件の自白過程"人権教育研究. 第9巻. 53-73 (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      2000 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 浜田寿美男: "自白の心理学"岩波書店. 1-208 (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      2000 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Sumio Hamada: "Confession process of Niho Case"Journal for the Study of Human Rights. vol.9. 53-73 (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      2000 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Sumio Hamada: "Psychology of false confession"Iwanami Shoten. 1-208 (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      2000 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 浜田寿美男: "八海事件における自白形成過程"人権教育研究. 第10号(3月刊行予定). (2002)

    • 関連する報告書
      2000 実績報告書
  • [文献書誌] 浜田寿美男: "自白の心理学"岩波書店. 208 (2001)

    • 関連する報告書
      2000 実績報告書
  • [文献書誌] 浜田寿美男: "仁保事件における自白形式過程"人権教育研究. 第9号(3月刊行予定). (2001)

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書
  • [文献書誌] 浜田寿美男: "自白の心理学"岩波書店(11月出版予定). 200 (2000)

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書

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公開日: 2000-04-01   更新日: 2016-04-21  

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