研究概要 |
「労働組合は、労働者の不満を雇用者に伝え(Voice)、問題解決に貢献することにより、辞職(Exit)を減らす」という労働組合の発言効果(Freeman and Medoff 1979,Freeman 1980,Brown and Medoff 1978,Medoff 1979,Leigh 1979,Long and Link 1983)は、米国の男性については、実証的に支持されている。この研究では、労働者個人の利害を組合が代表している程度によって、組合員個人の辞職率が、影響を受けるか否かを探るために、労働者個人のジェンダーが労働者個人の産業×職業の組合員全体の中で占める割合が過半数であることを示すシェア・ダミー変数を構築した。組合ダミー変数、シェア・ダミー変数(×組合ダミー変数)、個人、ジョブ、経済的環境の属性を示す時間と共に変化する多数の説明変数を含み、また、ジョブマッチの観察不可能な属性とその労働組合関連の説明変数との相関関係を明示的に考慮したセミ・パラメトリック競合リスク・モデルを用い、辞職ハザードレートを推定した。推定には、National Longitudinal Survey of Youth 1979-1994から構築したジョブの存続期間データを用いた。その結果、(1)組合の発言効果があるのは、男女共に、労働者のジェンダー・グループが組合構成員の過半数である場合に限られること、また、(2)女性が組合員の過半数を占める場合の方が、男性が組合員の半数を占める場合よりも組合の発言効果が強いことが判明した。
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