研究概要 |
科学研究費補助金のもとで平成11度は,(1)経営者による会計操作の実証研究,(2)金融システムの変更と企業会計のあり方,および(3)環境保護の問題と企業会計の関係を分析した。須田は(1)の研究成果に基づき『財務会計の機能-理論と実証』を刊行した。柴は(2)のテーマについて『自己株式とストックオプションの会計』を刊行し,竹下は「時代動向と社会経済システムの変革」を公表した。小谷は,外貨建て取引の会計問題を考察し,『外貨建取引の会計と税務』を刊行した。松尾は(3)について,『環境情報開示論』を刊行したのである。 平成12年度は,上記の研究を精緻化し,さらに裾野を拡げることを目的にした。須田は(1)について,経営者の利益連動型報酬制度と会計操作の関係を分析し,さらに税効果会計における経営者の裁量的行動を調査した。それぞれの研究を,『研究双書 経済システム改革と会計制度I』と『税経セミナー』で発表した。柴は(2)について,「金融負債と現在価値」を『企業会計』に発表し,小谷は『企業経営と年金問題』を税務研究会から刊行した。また竹下は,社会経済システムの変革そのものを分析した。須田が『企業会計』で,発表した「固定資産の現在価値」も(2)の流れにある。松尾は(3)について,最近の環境会計の動向を探り,今後のあり方を考察した。それは,細見監修『新しい環境会計の実務はこうなる』と『現代ディスクロージャー研究』で公表されている。 そして関西大学経済政治研究所から刊行した『経済システムの改革と会計制度II』では,それぞれ新たな視点から金融ビッグバンとディスクロージャーの関係を分析した。われわれの研究課題「会計制度の経済学-金融ビッグバンとディスクロージャー」は,4冊の単行本と2冊の研究双書,および約40本の論文に結実されたのである。
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