研究概要 |
神戸大学経済研究経営研究所、リエゾンセンターが、所蔵する内外綿文書(約2000点に及ぶ資料群)の整理、解読、データーベース化を行い,それに基づく分析を行った。とくに、1921年上期-1948年の新内外綿の発足までを、中心としている。作成したデータベースはつぎに示される。 株主の推移。国内の3工場すなわち,伝法支店,西宮支店、安城支店,及び中国における、上海支店、青島支店、金州支店の設備の推移。工場別の据付機械の変化。内地外地工場の作業日数,時間,人数の推移。上海支店の製品販売先。支店別の財務数値の推移。支店別の経営成果。書簡類・報告書類の解読整理。 これに基づいて,概要次のような事実発見と,分析をおこなった。第1次世界大戦後、中国において最大級の紡績企業としての内外綿が,その優位性を国内の工場からの技術移転をたゆみなく行い,現地における優位性を維持強化しつづけたこと。内外綿の活動は,中国民族紡績企業家に大きなインパクトを及ぼし,彼らが経営近代化に向かう動機を与えた。中国における競争が激化するなかで,内外綿は,製品の高付加価値化に力を注ぎ,1930年代には中細番手綿糸に特化し,加工綿布の大規模生産を始めた。そして,中国綿業界のもっとも先進的な経営を実践した。とはいえ、しばしば起こった政治的な環境の不安定のもとで、短期的にではあるが内外綿の経営成果は急激に低下した。
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