研究概要 |
当初の研究計画に基づいて,以下の成果を収めた。第一に,自動車メーカー,ディーラー,インポーター,業界団体等に対して,総計約200か所の集中的な取材調査および資料収集を行った。メーカーとしてはトヨタ自動車,ダイハツ工業,本田技研工業,三菱自動車工業,ディーラーとしてはトヨタ,トヨペット,本田,三菱,マツダ,日産,等の各チャネルおよび整備会社,インポーターとしてはフォルクスワーゲン・ジャパン,業界団体等としては日本自動車工業会,自動車振興会,インターネット業者としては,クイック,オートバイテル・ジャパン等で取材調査および資料収集を行った。第二に,国内調査と並行して,韓国に計4次訪問し,現代自動車等,計約40か所での調査を行った。加えて米国に3次,英国に2次現地調査を行い,情報収集を行った。これらの取材調査と文献収集の結果,従来積み重ねてきたデータを豊富化し,自動車フランチャイズ・システムに関する国際比較を行う上での比較の座標軸を立体化するための多種多様なデータ収集に成果をおさめた。とくに米国では,インターネットによる自動車販売の最新の動向を把握することができ,英国でもブロックエグゼンプションの改訂の内容を詳細に調査しえた。加えて国内調査では,新たに中古車流通経路や整備業界,保険市場についても調査し,自動車流通における今日的政策課題とその改革方向を提起した。2002年2月に,研究の総まとめとして,塩地洋『自動車流通の国際比較--自動車フランチャイズ・システムの再生をめざして--』有斐閣,518頁,を出版した。これは,米国,英国,中国,韓国,日本の自動車流通システムの体系的比較であり,かつフランチャイズ・システムが抱える最大の問題点を固定的卸売価格制と規定し,その改革方向として変動卸売価格制を提起した研究書である。学界のみでなく,業界の実務者からも注目される成果である。
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