研究概要 |
ビジネスプロセスのモデルとして業務取引システムモデルを,過去に申請者は開発した。本研究はそれを発展させて、(1)モデルと時間特性計算法を深化させること、(2)実務的に意味のある大規模シミュレーションの実行方法を設計するための基礎として,市販の統合基幹情報システムであるSAP社のR/3システムが持つ計画・管理関連データを定式化し利用すること、(3)設計を実現するプログラムを開発して計算法の実用化を計ることの、3つの方向で行った。 研究の成果として,業務取引システムモデルを使ったビジネスプロセス全体の時間特性計算法を発展させた。具体的には、業務取引ペトリネットというビジネスプロセスの分析に有効なクラスを定め、それによってリードタイムの近似的計算のために,情報フィードバック構造をもつビジネスプロセスに付随する行列表現の固有値を使う方法を提案した。さらに,本方法を適用するためにシミュレーションシステムを試作した. また,統合基幹情報システムの生産計画・管理のデータとビジネスプロセスとの関連を追及する過程で,ビジネスプロセスの知識と,統合基幹情報システムで利用可能な機能とを整合させる情報システム方法論の開発を開始し、初期の段階が終了した。 関連する研究として,統合基幹情報システムを利用することを前提とした情報システム方法論について研究を行い,生産計画・管理のビジネスプロセスの知識と,統合基幹情報システムで利用可能な機能とを整合させる情報システム方法論のひな形を開発し,インターネットで公開した. このように,本研究のこれまでの成果によってビジネスプロセス工学の基盤が作られた.さらに今後の発展の方向が明確になった.
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