研究課題/領域番号 |
11630145
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
会計学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
醍醐 聰 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20080244)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 自己資本比率規制 / 税効果会計 / 繰延税金資産 / 未処理不良債権 / 早期是正措置 / 貸出金評価 / 有価証券評価 / 会計基準 / 原価法 / 土地再評価 / 不良債権 |
研究概要 |
本研究は昨今わが国で焦眉の課題となっている金融機関の財務の健全性確保のためのインフラともいうべき会計制度のあり方を、税効果会計に焦点を当て、市場規律支援機能に着目して検討したものである。 そこで、繰延税金資産の対自己資本比が大きい銀行、ならびに自己資本比率が相対的に低位で規制水準に接近している銀行を対象にして、これら各行における未処理不良債権の対実質自己資本比、ならびに過去3ヶ年の業務純益の平均値に対する繰延税金資産と未処理不良債権の合計額の倍数を調査したところ、多くの銀行がどちらの指標とも極めて高い水準であることが確かめられた。次に、繰延税金資産の回収可能性を吟味するために各行における繰延税金資産総額からの回収不能見込額相当の控除率を調べると、ゼロから57%までばらつきが大きかったが、繰延税金資産総額に対する繰越欠損金の割合が37%に達した2行で控除率がゼロとなっている点が注目された。以上のような実証結果から得られた知見を踏まえ、次のような結論を導いた。 1.繰延税金資産の回収可能性を左右する将来の課税所得を過去の業績に基づいて見積る際には、過年度の非経常的な不良債権償却額に該当する個別貸倒引当金繰入額を控除する前の損益を用いる必要がある。これによって、過去において不良債権償却を積極的に行い、その結果として繰延税金資産が多額になった銀行ほど、繰延税金資産の回収可能性が過度に厳しく査定されるという自己撞着を回避できることになる。 2.過年度の業績に基づいて将来の課税所得を見積る場合には、当該銀行力が抱える未処理不良債権の要償却額相当を控除することが必要である。このことは、繰延税金資産の対自己資本比が大きい銀行の多くが、なお多額の未処理不良債権を抱えている実態を確認した本研究の知見に照らしても、十分留意されるべき点である。
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