研究概要 |
1.n変数整数係数2次形式全体からなる集合に平方メビウス関数(通常のメビウス関数の2乗)を構成した.それを用いて,次数2のジーゲル保型形式のマースゼータ関数をスタンダードゼータ関数を使って書き表すBochererの公式(cf.S.Bocherer,Math.Gottingensis des Schrift.des SFB.Geometry and Analysis Heft68(1986),Satz1)の高次元への一般化を行った. 2.1を用いて1変数尖点形式の持ち上げから得られる偶数次数のクリンゲンアイゼンシュタイン級数に対するマースゼータ関数の明示公式を得た.そこにはもともとKohnen-Zagierによって半整数重さの保型形式のフーリエ係数の研究のために導入されたデイリクレ級数が現れ興味深いものである.(伊吹山知義氏との共同研究)また,奇数次数のものに対してもその明示公式を得た.手法は前と同じであるが、その明示公式に現れるある2変数デイリクレ級数は今までにはない新しいものと思われ、その解釈はまだ検討中である. 3.池田保氏(京大)により齋藤-黒川リフテイングの非常に見事な一般化が得られたたが,そのマースゼータ関数をきちんと計算した.(一部は伊吹山氏との共同研究) 4.2つのジーゲル尖点形式の一致するための良い十分条件を得た.さらに,この精密化に関してある予想を提出し,マースゼータ関数に関するある条件のもとでこの予想を証明した. 5.ジーゲルアイゼンシュタイン級数に付随するアンドリアノフ型のデイリクレ級数がオイラー積をもつこと及びその良いオイラー因子を求めた. 以上の研究成果の公表のため,あるいは成果のレビューを受けるための旅費を科研費から流用した.
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