研究分担者 |
木内 功 山口大学, 理学部, 助教授 (30271076)
秋山 茂樹 新潟大学, 理学部, 助教授 (60212445)
松本 耕二 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (60192754)
北岡 良之 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (40022686)
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研究概要 |
Riemannのゼータ関数ζ(s)等は,全平面に解析接続され関数等式を満たす.このような解析的性質のうちに重要な整数論的性質が深く反映されるため,これらは現在に於いてもなお中心的な研究対象となっている.これらの関数の挙動を調べていくにあたりまず行われるのは,平均値の研究である.とくにζ(s)の2乗平均の誤差項E_σ(T)やζ^2(s)の近似関数等式の誤差項R(s)の平均値問題には詳細な研究がある.木内と谷川はE_σ(T)やR(σ+it)の局所的な振る舞いをより深く把握するため短区間における平均値定理を導いた.平均値定理は,さらに係数の総和を調べるときにも使われる.いわゆるDirichletの約数問題である.本研究では,先行する木内,Muerman,柳沢の仕事を,Dirichlet指標を付けた形に拡張し,総和公式,及び剰余項の2乗平均を導いた. 秋山-谷川では,楕円曲線に付随するL-関数を計算するために,不完全ガンマ関数を係数に含んだ近似関数等式をつくった.またその式を月いて,いくつかの楕円曲線について臨界領域での値を数値計算し,その範囲で楕円曲線のL-関数に関するRiemann予想が成り立っていることを確かめた.また上記の不完全ガンマ関数を含んだ近似関数等式は,modular relationとも関係がある.金光,吉元との共同研究では,従来Ramanujan公式に関して得られている多くの結果をmodular relationの観点から統一的に見直した.またζ(2/3)に関する新しい公式を導くこともできた. 本研究では,多重ゼータ関数についても多くの知見が得られた.多重ゼータ関数は最近,数理物理との関連が見いだされ注目されている関数であるが,そこでは正の整数点での値が問題となっていて,全平面での挙動は解っていなかった.秋山-江上-谷川では,Euler-Zagierの多重ゼータ関数の解析接続を行い,そのとき不確定特異点が生じることを指摘した.かつ特別な極限操作により,負の整数点での値をいくつか求めた.
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