研究概要 |
(1)F.クラインが与えた正20面体方程式はコード理論との関係で注目されている.この正20面体方程式の斉次化を扱う.その解はテータ関数とDedekindのエータ関数を使って表され,しかも重み1/5の保型形式になる.その正確な意味を含め,斉次正20面体方程式とSL(2,Z)と正20面体群などの関係を調べる.これは九州大学の坂内英一教授,小池正夫教授,宗政昭弘助教授との共同研究である.一部はE.Bannai,M.Koike,A.Munemasa,J.Sekiguchi"Some results on modular forms"として論文にまとめ,出版予定である. (2)(関口)単純Lie環のベキ零軌道をテーマにして,カナダのWaterloo大学のD.Z.Djokovic教授とこの数年,共同研究している.すでに,論文"The closure ordering of adjoint nilpotent orbits in so(p,q)"をN.Lemireとの3名連著で出版予定しているが,その後,ベキ零軌道の閉包関係と概均質ベクトル空間との関係に注目して共同研究を継続している.特に概均質ベクトル空間の相対不変式の零点集合を調べることがベキ零軌道の閉包関係を決定する上で重要であることがわかり,その応用として,上記論文の成果をさらに進展させることができた. (3)(藤原)射影埋め込みの幾何学的組成列を構成することを目的にして,P^3(C)の射影化された標準曲線から構成された2-bundleの"nef"条件を調べた. (4)(増田)Xを複素数体上定義されたA^1_*-fibrationをもつ代数曲面とし,ψ:X→Xをetale endo-morphismとする.このような状況の下で,多くの場合,ψは自己同型になることを示した.これは大阪大学の宮西正宜教授との共同研究である. (5)(福井)電磁気理論を座標や計量によらずに定式化して,電磁波が正しく伝播するための時空の構造(計量)がどうあるべきか,という問題を研究した.
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