研究概要 |
R.Stongは1983年にコンパクト微分可能多様体が余次元3でユークリッド空間にはめ込まれているときに,その多様体の同境類を研究したが,次元が特別な形をしているときにの同境類は未決定であり,その最初のものは16次元に現れる。 そこでREDUCEソフトを使って,余次元3でユークリッド空間にはめ込まれている多様体のWu類を書き出し,特性数を求めると全て0であることが解った。このことに要したプログラムはそれ程面倒なものではなく,他の次元にも応用可能である。REDUCEソフトは関係式の処理に強いという利点がある。使用したREDUCEのバージョンは3.2とかなり古いものである。それをMOドライブを付加したIBM IntelliStation Pentium IIIモデル上で使用したが,16次元の場合には充分であった。 但し,次元を高くしてゆくと,次元の分割数は急激に増えるので,データの処理やプログラムには,PCのメモリーでは自ずから限界を生ずる。したがって,他の未解決の次元を処理する場合には,数式処理上の問題,特に,コンピューターのハード面での制約を考えねばならない。それは,いわゆる純粋数学と離れたコンピューター上の問題になり,更に進展を望むことが可能である。このように純粋数学で未解決のままになっている問題をコンピューターで処理することは今日の数学の大きな流れになりつつある。今後はこの流れの中で上記未解決問題の続きを考えて行きたい。
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