研究分担者 |
芥川 和雄 静岡大学, 理学部, 助教授 (80192920)
中川 泰宏 東北大学, 大学院・理学研究科, 講師 (90250662)
砂田 利一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20022741)
納谷 信 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (70222180)
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研究概要 |
本研究の目的は,負曲率空間に作用する離散群の剛性・安定性を,負曲率空間の理想境界の幾何学および離散群のコホモロジーに注目して考察することであった.本年度は,この目的に沿って以下のような成果が得られた. Γをn次元球面に作用するクライン群とする.Γが凸ココンパクトならばその不連続領域の商空間はコンパクトであるが,その逆は一般には正しくない.しかし,極限集合が小さければこの逆が成立することが予想されていた.井関裕靖(研究代表者)は,この予想に対して,極限集合のハウスドルフ次元がn/2未満である場合に肯定的な解答を与えた(論文は投稿中).極限集合のハウスドルフ次元がn/2の場合には反例があるので,これは最良の評価である.この結果から,同じ仮定を満たすクライン群は構造安定であることがわかる.さらに,その応用として,正スカラー曲率をもつ共形平坦多様体の幾何学的,位相的性質についていくつかの結果を得た. 砂田利一は,離散群の作用するグラフに対する離散幾何解析の基礎付けとその応用について研究した. 中川泰宏は,板東・Calabi・二木指標が代数多様体の半安定性に対する障害になっていることを示した. 芥川和雄は,境界付き多様体に対し,相対山辺不変量を定義し,共形幾何的コボルティズム理論の足がかりを与えた(論文は投稿中). 納谷信は,離散群の研究への応用を念頭に置き,複素および四元数双曲空間の理想境界の幾何構造の微分幾何学的な定式化を与えた(論文は準備中).
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