研究概要 |
組合せ理論の重要テーマである直交配列,均整配列,ブロック・デザインなどといった組合せ的配列やデザインは18世紀ごろから数学的問題として多くの研究者の関心を引いてきた.近年これらの問題はスペクトラム拡散通信で使う符号や暗号,またDNAの検査計画などとの関連が明らかになり,強力で広範囲な応用を持つ数学問題として注目されている.当研究では有限射影平面上の代数曲線やより高次の射影幾何上での多様体(variety)を使って,組合せ的配列やデザインを構成することを目的としている.1999年には代数曲線の多重度の性質を使って均整配列を構成することを示した.また互いの積集合がある性質をもつエルミット多様体の集合を構成する問題に取り組んだ.この問題は均整配列などを作るのに役立つ重要な問題である.またその他の組合せ的デザインの構成に取り組んだ. 2000年には一本の光ファイバーで多重通信を行うための符号,光直交符号を構成する問題に取り組んだ.この中で有限幾何や有限体の性質を使って新しい光直交配列を作るいくつかの構成法を提案した.また有限幾何上の2次の多様体(2次形式の根の集合)を使って均整配列を構成する方法を提案した.またその他,巡回的な構造をもつ組合せ的デザインの構成に取り組んだ. 2001年には前年に続いて,光直交符号やそれに類した符号の構成に取り組んだ.またこの年には分解可能なデザイン(resolvable designs)や巣型のデザイン(nested designs)の構成にも取り組んだ. 以上の論文以外に現在掲載予定となっている論文が7件ある.それらは研究期間中に結果を得,投稿したものである.光直交符号の構成や巣型デザインの構成などがある.また新たに研究をはじめたものに,(t, m, s)-netと呼ばれる直交配列のより条件の厳しい配列の構成がある.
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