研究分担者 |
内山 耕平 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00117566)
志賀 徳造 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60025418)
角 大輝 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40313324)
野村 祐司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40282818)
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研究概要 |
本研究はいくつかの部分から成り立っているが,その中心となるものについてのみ,記述する. 統計力学のモデルの多くは相転移や臨界現象を示す.これらはミクロな構成要素が協力しあってマクロな秩序を作り出す現象であり,数学的に未知の部分が多い.これらの現象の解明には,臨界点での系のふるまいを詳しく知ることが不可欠である. 本研究では確率論的統計力学モデルの典型例としてパーコレーションを取り上げ,このモデルの臨界点でのふるまいを詳細に調べることを目的とした.特に「臨界パーコレーションの連結クラスターの連続極限」の問題を,格子の次元が大きい場合について研究した.その結果,系の次元が十分に高い場合には,「N個の格子点を含むクラスターについて格子間隔をNの4乗根に逆比例するようにスケールする」ことで良い連続極限が得られる可能性が非常に高いことを見いだした.更に,極限分布の1次と2次のモーメント分布関数を計算し,それらがIntegrated super-Brownian Excursion(ISE)とよばれる確率分布のモーメント分布関数と一致することも示した.これは連続極限がISEであることを強く示唆する結果である. 証明には研究代表者がSlade氏と共同で発展させてきたLace Expansionの手法を用い,モーメント分布関数の母関数を計算する手法をとった. 現時点でのこの研究の限界を二つ挙げておく.一つ目は,これらの結果が6-次元より大きな次元の格子で成り立つと予想されるにも関わらず,実際には10ないしもう少し上の次元でしか証明できていないことである.限界の2つ目は,モーメント分布関数の計算が1次と2次のものしか行えていない点である.これらの欠点について,今後の発展が待たれるところである.
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