研究分担者 |
真鍋 昭治郎 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20028260)
杉本 充 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60196756)
榎 一郎 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20146806)
竹腰 見昭 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20188171)
山本 芳彦 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90028184)
高橋 智 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70226835)
山崎 洋平 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00093477)
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研究概要 |
本研究では,量子情報理論の中でも特に漸近理論に基づく操作的方法を確立することを目的とし,(a)種々の量子エントロピーの新しい操作的特徴づけ,(b)量子通信路の同定問題,の2点を具体的課題として研究し,以下の結果を得た. (a)pをHilbert空間H上の互いに平行でない単位ベクトルからなる可算集合に台を持つ確率測度,p^<(n)>をpのn次iid拡張として定義されるH^<【cross product】n>上の確率測度とし,p^<(n)>に従うL^<(n)>個の確率変数X(1),...,X(L^<(n)>)を考える.そして,これらのベクトルが互いにどの程度直交しているかを表す「漸近的直交性」の概念を何通りか定義し,各条件の下でL_nをnと共に増加させたときのlim sup_nlog L_n/nの上限(直交性容量とよぶことにする)を調べた.まず,「X(1)が他のベクトルとほとんど直交している」という状況を表す第1種漸近的直交性の下での直交性容量は,pが定める密度作用素ρのvon Neumannエントロピーと一致することを明らかにし,その系として,Hausladen et al.によるノイズのない量子通信路符号化定理の別証明を導いた.一方,「X(1),...,X(L^<(n)>)が互いにほとんど直交している」という状況を表す第2種漸近的直交性の下での直交性容量は,ρの2次量子Renyiエントロピーと一致することを明らかにした. (b)量子2準位系に対する等方的デポーラリゼーション通信路Γ_θを,Stokesパラメータ空間上の写像(x,y,z)→(θx,θy,θz)で定義する.ここに,通信路の完全正値性よりθ∈[-1/3,1]である.この通信路の族に対するパラメータ推定問題を,拡大次数2までの範囲において,非可換統計学の観点から論じた.その結果,最適な推定方法として,1/√3【less than or equal】θ【less than or equal】1ではГ_θ【cross product】Г_θに最大エンタングルド状態を入力するのが最適,1/3【less than or equal】θ【less than or equal】1/√3ではГ_θ【cross product】Г_θにテンソル積状態を入力するのが最適,-3/1【less than or equal】θ【less than or equal】1/3ではГ_θ【cross product】Idに最大エンタングルド状態を入力するのが最適,と3通りに分岐するという驚くべき結果を得た.
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