研究概要 |
本研究は「隣接デザインの研究」を行った.その中でも特に,「Dudeneyの円卓問題」と,それに関連する問題について研究を行った.この問題は,nが偶数のときは1993年にすでに解決されているが,nが奇数のときは,わずかな場合しか解決されていない. 1.奇数次Dudeney集合については,p+2次(pは素数)で,2がmod pの原始根の場合しか解決されていない.しかも,その構成法は,複雑であり拡張することが容易ではない.本研究では,より単純で包括的な構成法を示した.それにより,-2がmod pの原始根のときのp+2次Dudeney集合等を新しく構成することができた. 2.多重Dudeney集合の構成についての研究も行った.まず,nが4k+3型のときについて,n-3重Dudeney集合を構成した.さらに、全ての奇数について2重Dudeney集合の構成を行うことができた.これにより,100年前からの難問である「Dudeneyの円卓問題」の解決に向けて大きく前進することができた. 3.完全グラフの1因子分解に関する研究も行った.完全グラフの1因子分解の無限系列は現在までに数個構成されており,種々のデザインに応用されている.本研究では,新しい1因子分解の無限系列を無限個構成した. 4.Dudeneyの円卓問題とは「ハミルトンサイクルによる2-pathの完全被覆問題」であるが,これに関連して,本研究では,k-pathの場合の2-pathの完全被覆問題の研究も行った.3-pathの場合は,すでに解決されているため,本研究では,4-pathの場合と5-pathの場合について,完全被覆の構成を行った.
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