研究分担者 |
鈴木 由紀 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (30286645)
河津 清 山口大学, 教育学部, 教授 (70037258)
冨山 淳 日本女子大学, 理学部, 教授 (30006928)
峰村 勝弘 日本女子大学, 理学部, 教授 (20060684)
大枝 一男 日本女子大学, 理学部, 教授 (10060675)
|
研究概要 |
本研究は,主としてランダム媒質の中の拡散過程の長時間後の極限的振る舞いに関するものである.「ランダム媒質の中の」の代りに「ランダムポテンシャルをもつ」という表現を用いることもある. 1.半直線[0,∞)上のブラウンポテンシャルをもつ反射壁拡散過程に対して,その適当なスケーリングのもとに得られる極限の確率過程が時間的非一様な自己相似レヴィ過程になることが示され,そのレヴィ測度の具体的な形が求められた(研究発表の欄の第1の論文). 2.R=(-∞,∞)におけるランダムポテンシャルとして原点の左側ではブラウン運動,右側では恒等的に0としたものを考え,このランダムポテンシャルをもつR上の拡散過程の長時間後の極限的振る舞いに関しては従来よく研究されていたモデルの場合とは著しく異なった新しい結果が得られた(研究発表の欄の第3の論文). 3.多次元timeのブラウン運動の種々の領域での最小値,最大値の分布の滑らかさについての結果が得られた.この結果を用いて,多次元timeのブラウン運動の見本関数に対しては「相異なる時点で同じ値の極小値をとることはない」ことが示された.このことは媒質が多次元の場合,例えばランダム媒質として多次元timeのブラウン運動をとった場合の研究へ進むためにも必要なステップとしての意味がある(研究発表の欄の第9論文). 4.マルコフ過程の従属操作は時間的一様の場合に限るものであったが,時間的に非一様なマルコフ過程に対しても拡張された意味での従属操作が可能であることがわかった.また,これに関連して不連続型のマルコフ過程の乗法的汎関数のあるクラスについて具体的表示が得られた.これらは,ランダム媒質が時間とともに変化する場合の研究のための予備的考察(マルコフ過程の種々の構成法の検討)としてなされた.
|