研究概要 |
本研究においては,関数自身及びそのフーリエ変換も共に局在しているような関数列を用いて,様々な作用素の性質の研究を行った.具体的には,まずGaborフレームを用いて擬微分作用素のL^2有界性に関するCalderon-Vaillancourtの定理の一般化を得た.またNazarov-TreilのBellman関数法を用いて,離散型Carleson不等式を証明した.応用として,fractional maximal operator及びfractional integral operatorに関する重み付き不等式の別証明を与えた.またウェーブレット型の関数列であるFrazier-Jawerthのψ-変換を用いて,負のポテンシャルを持つSchrodinger作用素の負の固有値のモーメント和に関するLieb-Thirringの定理を一般化し,退化する係数を含むような高階楕円型偏微分作用素に関する結果を得た.またその応用として,重み付きのSobolev-Lieb-Thirring不等式を証明した.これらはstability of matterの問題や非線形偏微分方程式のアトラクターのHausdorff次元の評価の問題への応用が期待される. またd-次元単位開球B_1(0)から(D+1)-次元ユークリッド空間に埋め込まれたD-次元球面S^Dに値を取る調和写像に付随した,非線型熱方程式の弱解の正則性及び特異集合の構造を調べ,調和写像の最小化関数は,(d-3)-Hausdorff次元で高々有限な閉集合を除いて滑らかであることを示した.
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