研究課題/領域番号 |
11640168
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎解析学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
洞 彰人 岡山大学, 環境理工学部, 助教授 (10212200)
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研究分担者 |
村井 浄信 岡山大学, 大学院・文化科学研究科, 助手 (00294447)
佐々木 徹 岡山大学, 環境理工学部, 講師 (20260664)
広川 真男 (廣川 真男) 岡山大学, 理学部, 助教授 (70282788)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1999年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 調和解析 / 確率モデル / ランダムウォーク / 量子確率論 / 中心極限定理 / スペクトル / 距離正則グラフ / カットオフ現象 / 対称群 / スケーリング極限 |
研究概要 |
本研究では、調和解析の方法を用いて、確率モデルの漸近挙動を解明しようとした。主要な成果は、1.ランダムウォークのカットオフ現象2.代数的確率論における中心極限定理の2つに集約される。 1.カットオフ現象というのは、マルコフ連鎖の平衡状態への収束の過程でしばしば観測されるある種の臨界現象である。P.Diaconisを始めとする多くの研究者によって、いろいろなモデルでカットオフ現象が起こっていることが確認され、系の対称性に起因する推移行列の固有値の縮退の度合が重要な役割を演じることが、広く認識されてきた。本研究では、個別のモデルでのチェックや第2固有値の縮退に基づく直観的な理解を越えて、数学的に厳密でかつ実践的なカットオフ現象の判定条件を提示することを試みた。距離正則グラフに着目することにより、グラフのスペクトルデータのみによって書かれたカットオフ現象の判定条件を得ることに成功した。これによって、ある程度組織的にカットオフ現象が観測されるモデルを構成することができるようになった。 2.W.von Waldenfels等によって創始された量子中心極限定理にまつわるテーマは、代数的確率論の中で、大きな流れとなっている。本研究では、代数的・組合せ論的性格を前面に出して、非可換確率変数の族の独立・従属性と中心極限定理との深い関係について考察を進めた。1つの具体的な成果として、ジョンソングラフ上のラプラシアンとギッブス状態を題材にして、このような考えのもとに、中心極限定理のスケーリングにしたがう低温・無限体積極限におけるスペクトル分布の漸近挙動を計算し、明示的な表式を得た。この結果は、自明でないいわゆる相互作用フォック空間上の生成消滅作用素と関係し、この方面の研究の良いworking exampleを与えている。
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