研究概要 |
通常の複素Ginzburg-Landau方程式およびその一般化について研究するためHilbert空間X上の適正下半連続凸関数φ,ψの劣微分作用素∂φ,∂ψを導入し,抽象的発展方程式の初期値問題 du/dt+(λ+iα)∂φ(u)+(κ+iβ)∂ψ(u)-γu=0,t>0;u(0)=u_0 を考えた.ここでΩ⊂R^Nを有界領域にとって,X:=L^2(Ω)と設定すれば,φ/(u):=(1/p)‖∇u‖^p_<L^p>,u∈W^<1,p>_0(Ω);ψ(υ):=(1/q)‖υ‖^q_<L^q>,υ∈L^q(Ω)とおいたとき∂ψ(u)=|u|^<q-2>u,u∈D(∂ψ):=L^<2(q-1)>(Ω),∂ψ(u)=-Δ_<p^u>:=-div(|∇u|^<p-2>∇u),u∈D(∂ψ):={u∈W^<1,_p>_0(Ω);Δ_pu∈L^2(Ω)}となって(CGL)_p∂μ/∂t-(λ+iα)Δ_pμ+(κ+iβ)|u|^<q-2>u-γu=0,t>0;u(0)=u_0を得る.特に(CGL)_2が通常の複素Ginzburg-Landau方程式の初期値境界値問題である.ここでは簡単のためp【greater than or equal】2,q【greater than or equal】2とした.(CGL)_pの時間大域的可解性が複素係数λ+iα,κ+iβ(λ>0,κ>0)から決まる対(α/λ,β/κ,)∈R^2と初期値によって次のように分類されることを明らかにした.まず|α|/λ【less than or equal】1/c_p:=2√<p-1>/(p-2)は常に仮定する. 1.任意の(α/λ,β/κ)とu_0∈L^2(Ω)に対する弱解の存在(一意性は一般にはいえない). 2."(CGL)領域":={(x,y)∈R^2;xy【greater than or equal】0 or |xy|-1<(|x|+|y|)/c_q}に属する(α/λ,β/κ)とu_0∈W^<1,p>_0(Ω)∩L^q(Ω)に対する強解の存在(一意性は一般にはいえない). 3.|β|/κ【less than or equal】1/c_qとなる(α/λ,β/κ)とu_0∈L^2(Ω)に対する一意強解の存在(解作用素の平滑化効果).さて1/c_2=∞だから,p=2のときλ+iαに対する条件は不要となる.従って,主張1,2だけで(CGL)_2に対する既知の結果の完全な一般化になっている.即ち,第3の主張はp=2の場合にも新しく,(CGL)_2の研究に劣微分作用素を持ち込んだことによる成果の一つなのである.
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