研究概要 |
今回の中心テーマは,「積分チェビシェフ系による近似」である。具体的には3つの課題について取り組んだ。それぞれの課題について,研究成果を述べていく。 1積分チェビシェフ系による最良近似 チェビシェフ系や弱チェビシェフ系による最良近似の結果と比較しながら,セミナーを通して独自の証明を与えた。これによって,見通しが良くなり,まだわかっていなかったアルゴリズムを考える基礎になった。ただ,最良近似を使って,積分チェビシェフ系を特徴付けることが可能かどうかはわかっていない。 2積分補間とチェビシェフ多項式 数値実験を重ねていくうちに,次の2つの大きな予想が成り立ちそうであることがわかってきた。 ・ある特定の区間上の積分値が特定の値をとる多項式は,第2種チェビシェフ多項式である。 ・定義域になる連続関数の空間には,最大値ノルムを導入し,値域になる連続関数の空間には積分値の最大値ノルムを導入する。そのときのラグランジュ補間作用素のノルムが最小になるための条件を予想した。 3積分チェビシェフ系による最良近似を得るためのアルゴリズム 1における結果を基にして,ルメの第2アルゴリズムに対応するアルゴリズムを考えることができた。 4その他(多項式近似) 2に関連する領域として,関数を近似する作用素を用意して,それによる多項式近似を考える領域がある。その中の一つの定理であるジャクソンの定理の変形版を多変数の場合に拡張した。
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