研究概要 |
平成12年10月下旬に二次元撮像装置HOPSの完成に漕ぎつけ,同年11月3日に京都大学理学研究科付属飛騨天文台で木星および金星のファーストライト観測に成功した。開発経過および観測結果については,米国の木星会議,第34回月・惑星シンポジウム,2001年日本天文学会秋季年会,Proc. ISAS Lun. Planet. Symp.,34,146-149,2001)で公表した。 パイオニア10号,11号の観測に基づき決定された青色と赤色における位相関数をより広い波長範囲で適用できるようにするためミー散乱近似を行った。その結果,有効半径0.96μm,有効分散0,32のサイズ分布を持ち,複素屈折率が青色で1.591-0.0075i,赤色1.535-0.0012iの球体粒子の位相関数が可視域から近赤外領域までの惑星周縁減光曲線を説明できることがわかった. 位相角が小さい場合,惑星の赤道帯あるいはその近傍における理論偏光度を求めることが極めて困難であった。本研究では多重散乱計算における積分点の取り方の工夫,ストークス・パラメーターの計算において多重散乱成分と一次散乱成分を別々に扱う,内挿法の改善を組み合わせることで,偏光度分布曲線を十分な精度で計算できるまでになった(J. Appl. Math. Comp.,116,115-132,2000)。 パイオニア金星探査機の観測で金星大気中に多量に検出されたヘイズ粒子がいつ頃から存在していたかを調べるため、1974年2月にマリナー10号よって得られた金星赤道帯及び中央子午線に沿う輝度分布データをモデル解析した。その結果、著しい量のヘイズ粒子が既に高緯度地帯には存在していた可能性を見出した(Proc. ISAS Lun. Planet. Symp.,34,49-52,2001; Earth, Moon, and Planets,2002(inpress))。 主テーマと平行して,太陽系外縁部天体EKBOの検出のためのアルゴリズムの改良を行い,スバル望遠鏡で得られた画像データから新たに14個のEKBOを発見ないし検出することに成功した(Publ. Astronom. Soc.Japan,2002(inpress))。
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