研究概要 |
中性子星コアに混在するハイペロン(Y)の割合や状態方程式(EOS)への効果,等を現実的アプローチにより計算し,中性子星モデルへの影響やY成分の超流動問題を論ずるのが本課題の目的である。 1)ハイパー核データとの整合性に留意してYN,YY相互作用を選択し(具体的にはNijmegen-Dpot.),y_Λの割合でΛが混在した中性子物質でのG行列計算に基づき,密度ρと混在度y_Λに依存するΛN,ΛΛの有効相互作用を構成した。また,同様のアプローチにより,Σ^-N,Σ^-Σ^-の有効相互作用も求めた。 2)Y混在問題に対して,上記に基づく有効相互作用アプローチを行い,ΛやΣ^-はほぼ3倍の核密度(ρ〜3ρ_0)から混在し始め混在度はρと共に増大する,ρ〜6ρ_0ではy_Λ〜20%,y_<Σ^->〜15%,y_p〜15%,y_n〜50%となってYがNと対等な成分になる,Y混在度はEOSを強く軟化させるため理論上の中性子星最大質量M_<max>は観測値の1つM_<obs>=1.44M_<【of sun】>より小さくなるという深刻な問題に逢着する,といった結果を得た。また,ソフト化の機構と相変化の特質を分析した。 3)M_<max><M_<obs>は「Yの関与する相互作用系に"Extra Repulsion"が働いているべし」という大変興味深い問題でもあること,3体核力にみられるような斥力は1つの候補であること,を指摘した。 4)ρ>3ρ_0という高密度域ではnやpの超流動は望めないのに対し,混在するΛやΣ^-(そして混在する場合はΞ^-も)は超流体なっている可能性が高いことを3種のYYポテンシャルを採用して示した。Λ超流体が限られた密度域でのみ存在することから,ハイペロン冷却中性子星に対し質量制限がもたらされることを指摘した.
|