研究概要 |
ゲージ理論の非摂動的側面は格子ゲージ理論によって調べられ多くの成果が得られてきた.これまでの研究はθ項と呼ばれるトポロジカル項を含まない系が中心であったため、θ項の役割はまだ十分解明されたとはいい難い.2次元CP^<N-1>模型は多くの点で4次元QCDと共通した特徴を持ち連続極限でθ→0となる可能性が指摘されている(Schierholz).これが本当ならstrong CP対称性の破れの問題をゲージ系自身の力学的性質に帰する可能性が生まれる.θ項の存在のもとではボルツマン重みが複素数値をとり単純には数値シミュレーションは実行困難である.このプロジェクトはこの困難を回避しながら数値計算を行う方法を開発するのと平行して実空間くりこみ群の方法により非摂動的性質を明らかにすることを目的とする.トポロジカル荷電分布をまずもとめ,それをフーリエ変換することによりθ項がある場合にも適用可能な方法の開発を行う.これまで2次元における,U(1),およびcp^1,CP^2,CP^3場の理論の相構造を調べた.トポロジカル荷電分布P(Q)から直接フーリエ変換でもとめた自由エネルギーのθ依存性があるθの値の所でフラットになることを確かめた.われわれはP(Q)において最大の寄与をするQ=0からの統計誤差が深刻でこれによりフラット化が起き得ることを見いだした.Schierholzが見つけたフラット化も同様の計算法によって生じているとすると統計誤差が重要となり.相転移が原因だと結論づけるのは困難であるというのがわれわれが現在もっている評価である.連続極限での性質を調べるため個定点作用を用いた数値シミュレーションを行った.CP3模型では種々の物理量についてスケーリング則が成り立つがCP^1模型ではスケーリング則の破れが大きいという結果が得られた.θ項を持つ4次元Z_Nゲージ理論においてθ項がある場合自由エネルギーにもとづいてCardy-Rabihoviciが指摘したoblique confinementを含む新しい相構造をキャラクター展開の方法を用いて調べている.
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