研究概要 |
この期間に行った研究の成果は,大別して,次の3つにまとめられる。 1)光円錐上での南部・ジョナ-ラジニオ模型の定式化とその一般化。 2)核子の相対論的クォーク模型による形状因子,構造関数の計算。 3)クォーク・クラスター模型によるバリオン間相互作用の総合報告の完成。 このうち,1)は東海大学のベンツ助教授たちとの共同研究で行った,南部・ジョナ-ラジニオ(NJL)模型の光円錐上におけるハミルトニアン形式の定式化を検討し,ドイツ,エルランゲン大学のレンツ教授,ティース教授および東京大学の太田教授たちと,光円錐上でのカイラル対称性とその破れの記述法の問題に一般化して,ワード・高橋の恒等式を用いた考察を進めるとともに,発散の正則化について新しい手法の提案を行った。 2)はベンツ助教授,理化学研究所の石井博士,台湾国立大学の峯尾博士たちとの共同研究で,NJL模型に基く核子の相対論的クォーク模型において,クォーク間相互作用に軸性ベクトル状態でのものを含めて,核子の電弱形状因子や構造関数を計算し,その影響を調べるとともに,簡単化したクォーク・ダイクォーク模型により核物質での核子の構造変化を調べた。 3)は東京工業大学の岡教授,上智大学の清水教授たちと20年近くにわたって進めてきたクォーク・クラスター模型によるバリオン間相互作用の研究の総合報告を完成させ,Prog. Theor. Phys. のSupplementの1冊として出版した。
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