研究概要 |
超対称性はsoftに破れていると仮定されているが,超対称性を破る機構を明らかにしない限り,超対称性の破れを記述する項は,理論の持つ対称性とくりこみ可能性の制限だけしか受けていない.この状況の下では,最小超対称標準理論に於いてでさえも,独立な超対称性を破るsoftパラメータの数が100以上にも及ぶことになる.当研究によって,4次元有効超重力理論に於いて超対称性の破れを記述するsoftな項は,一般的な仮定の下でuniversalな総和則を満たしていることを見い出した.このuniversalな総和則は,4次元にコンパクト化された超弦理論においても満たされていているばかりでなく,結合定数還元原理に基づく超対称ゲージ・湯川統一理論のそれと一致していることも見い出した.この研究の当初計画は,超対称性をsoftに破る項のuniversalな総和則が大統一理論のエネルギースケールで成立していると仮定し.低エネルギーでの現象論的,特に,超対称粒子のスペクトルに関しての予言を行うこと,そして,何故,4次元にコンパクト化された超弦理論と結合定数還元原理に基づく超対称ゲージ・湯川統一理論で同じuniversalな総和則が成立しているのかを明らかにすることであった. これらの研究の結果は,数々の権威ある国際会議で発表され,将来の研究課題の大きな動機となった.
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