研究概要 |
理論物理学特に素粒子論の研究の1つの大きな柱の「(無限次元)対称性」,特にトロイダル代数に注目し,高次元でのKWZW(Kahler Wess-Zunimo-Witten)模型とSeiberg-Witten理論に関連した可解模型,特に楕円的Calogero-Moser(C-M)模型等の研究から,理論物理学,特に場の理論と量子力学に現れる対称性代数の種々の形を調べた. 3年間に目標としたのは:1.無限自由度系(場の理論)におけるトロイダル代数の実現とその対称性の力学的役割の理解,2.有効的場の理論(Seiberg-Witten理論等)および有限自由度力学系での,(縮退した)トロイダル代数の実現とその対称性の力学的役割の理解,3.Lax表示およびそこから得られる保存量等のレベルでトロイダル代数からアファインリー代数への移行をはっきりとらえる. 4.楕円的C-M模型の古典解のレベルでトロイダル代数からアファインリー代数への移行((アファイン)戸田理論の古典解への移行)の力学的意味をさぐる. 5.楕円的C-M模型の量子的解の波動関数・スペクトルのレベルで,トロイダル代数からアファインリー代数への移行を理解する. 佐々木は,初年度には,アファインリー代数を極限として含むトロイダル代数を内包する有限自由度古典・量子可積分系の代表とも言われるC-M系について,可積分性とLie-代数の関連を調べた.第2年度には,C-M系の量子論を中心に研究した.第3年度には,有限自由度の古典・量子力学系で可積分性と超対称性を併せ持つCalogero-Moser系とその種々の拡張を中心に研究した. 稲見は,初年度には,種々の可解模型に現れる対称性代数と動力学との関連を追及した.第2・3年度には,初年度の研究を更に進め,3次元の拡張された超対称な非線形シグマ模型(NLSM)の紫外発散や,キンク解やランプ解を調べた.
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