研究課題/領域番号 |
11640315
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
渡辺 純二 大阪大学, 理学研究科, 助教授 (60201191)
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研究分担者 |
木下 修一 大阪大学, 理学研究科, 教授 (10112004)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1999年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 位相緩和 / 二次光学過程 / ラマン散乱 / 電子格子相互作用 / β-カロチン |
研究概要 |
不規則系中の分子の超高速ダイナミクスを調べるために、不純物として導入した色素分子を対象とした光学的実験が盛んに行われている。これまでに、室温における溶液中では、色素分子の電子励起状態と基底状態の間の光学的位相緩和がフェムト秒の時間スケールで起こり、またその過程は単純な指数関数ではあらわせない事が明らかになってきた。 本研究では、エタノール中のβ-カロテンを対象として、その光学的位相緩和過程をインコヒーレント光フォトンエコーおよび二次光学過程により測定した。この系の位相緩和は、50Kの低温においてもフェムト秒オーダーとなり、非常に早い事がわかった。これらの時間領域および周波数領域における測定結果を、電子-格子相互作用についてのダイナミカルモデルにより統一的に解析した。その結果、この系における光学的位相緩和過程は、色素分子とまわりの液体分子との線形電子格子相互作用を仮定したダイナミカルモデルによって良く再現されることが分かった。また、フェムト秒オーダーの位相緩和過程は比較的強い電子格子相互作用によって起こり、その時間特性はガウス型に近いことが明らかになった。このことを電子格子相互作用のポテンシャルから見ると、電子励起状態と基底状態の平衡位置のずれが比較的大きいことに対応している。実際、電子励起状態における格子緩和エネルギーは、平均フォノンエネルギー(約30波数)の8倍程度と見積もられた。β-カロテン分子の長い共役結合は周りの分子の影響を受けやすく、数十Kの低温においても数十フェムト秒の非常に早い位相緩和が引き起こされていると考えられる。
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