研究概要 |
@ BiI_3結晶中の積層不整二次元界面に励起される擬二次元励起子(SFE励起子)を、モードロックNd:YAGレーザー励起ピコ秒色素レーザーを用いて高密度に生成し、ポイント励起発光スペクトルに時間-空間分解分光法を適用してその高密度励起子集団の伝播による空間的挙動を調べた。共鳴発光強度分布の時間-空間発展を、減衰を含む古典的二次元波動方程式(電信方程式)の解と比較し、そのフィッティングパラメーターから、励起子密度が増すに従いコヒーレンス性が増加する結果を確認した。 @ この高密度SFE励起子系の集団運動の位相情報を得るために、同じピコ秒色素レーザーを用いた2光束を空間分離して結晶表面で高密度励起子集団を励起し,その非線形光学応答を調べた。これらのコヒーレント伝播により誘起された非線形分極による縮退四光波混合(DFWM)信号の発生と,その波数ベクトル選択性見出した。これら励起子集団のコヒーレント伝播に起因する振舞いを,励起子-ポラリトンのボーズ凝縮相としての特性として理解した。 @ GaSe結晶をピコ秒Nd:YAGレーザー光のSHG光で励起して,高密度下で生じる励起子-励起子散乱,励起子-自由キャリア散乱により反跳を受けた励起子発光を時間-空間分解して調べ,空間伝播と伴に生じる位相空間での緩和を明らかにした。また、励起子遷移域を2光束空間分離励起でDFWM信号を調べ、BiI_3SFE励起子系とは異なる、密度の閾値を持たない応答を見出した。さらに、PbI_2結晶での静水圧下の構造相転移を明らかにし、この結晶における高密度電子励起状態を調べる準備とした。 @ 理論的には、層状結晶中の高密度擬二次元電子励起状態のコヒーレントな特性に発展的につながる,タイプII量子井戸中の擬二次元励起子系の多体効果を議論すると同時に,Kosterlitz-Thouless転移,凝縮状態での位相の空間構造,それに基づく超流動の可能性を明らかにした。
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