研究課題/領域番号 |
11640349
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清水 克哉 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (70283736)
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研究分担者 |
中山 敦子 (株)サイエンスサービス, 研究員
城谷 一民 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (90110692)
天谷 喜一 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (80029503)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | 有機分子 / 絶縁体-金属転移 / 超伝導 / 電気抵抗測定 |
研究概要 |
ベンゼンに代表される芳香族炭化水素系の単一有機分子について、10万気圧を超えた高圧下で金属化及び超伝導化を探索した。芳香族化合物のヨードアニル(化学式C_6I_4O_2)が唯一、高圧力下・極低温下での超伝導化が発見されている。それに対して酸素をヨウ素に置換したヘキサヨードベンゼン(C_6I_6)を目標試料とした。この結果をヨードアニルと比較して、金属化・超伝導性発現の機構についての理解を目的にしている。 常温常圧の絶縁体から金属状態への転移を室温における電気抵抗の圧力変化を行ったところ、圧力の印加とともに電気抵抗は急激な減少を示した。さらに電気抵抗の温度依存性を測定したところ、金属的な温度依存性が約35GPa以上で検出された。したがって、ヘキサヨードベンゼンが35GPaで絶縁体-金属転移を示すことが明らかとなた。さらに極低温測定を行うと、およそ2Kにおいて超伝導転移を発見した。臨界磁場はおおよそ2.3Tとかなり高いものであった。ここで、ヘキサヨードベンゼンが圧力誘起金属転移を示し、さらに金属ヘキサヨードベンゼンが超伝導体であることが明らかになった。 ヘキサヨードベンゼンが分子性を保持したまま加圧されているかということに注目して高圧下結晶構造回折実験を行った。単一有機分子としての金属化超伝導性に注目する時、この分子性が高圧下で保持されているかが問題である。放射光を用いたヨウ素位置のX線回折により、加圧によって分子は変形し、ヨウ素が分子面からずれて非平面化を起こすことが解った。伝導バスが分子の非平面化によって形成されると考えられるがこれは同時に芳香性を低下させていることになるので、分子解離の可能性も否定できないことになる。しかしヨウ素の遊離や分子の重合を問題とすると、観測された超伝導がヨウ素のものでないということが、(1)超伝導転移温度がヨウ素の転移温度と比べて圧力依存性が大きく異なること、(2)臨界磁場の値がヨウ素と比べ10倍以上も大きく異なること、により確かめている。 ヨードアニルとヘキサヨードベンゼンを比較して金属転移圧や超伝導性における違いはあまり見られなかった。今後さらに軽分子結晶、またはアントラセン・ペンタセン等のヨウ素を含まない分子の圧力誘起金属化、超伝導化探索への研究への移行を視野に高圧下のヘキサヨードベンゼンの結晶構造・分子内構造の変化に対する詳細な情報が重要になると考えられる。
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