研究概要 |
1.合成:伝導性Pd酸化物の合成及び電子物性研究を目的として、期間中に合成を試みた物質:(1):Ca_<1-x>Na_xPd_3O_4,(2):Ca_<1-x>Na_xPd_<3-y>Cu_yO_4,(3):Sr_<1-x>Na_xPd_3O_4,(4):M_2PdO_4(M=Bi,Nd,Dy,Ho),(5):M_<2-x>Ce_xPdO_4(M=Pr,Nd,Dy),(4)でBi,Nd,Dyは出来たが絶縁体、(5)は出来なかった。 2.物性:(1)Ca_<1-x>Na_xPd_3O_4、(2)Ca_<1-x>Na_xPd_<3-y>Cu_yO_4(3)Sr_<1-x>Na_xPd_3O_<4-y>は金属絶縁体転移を示す物質で、これらについて電気伝導率、磁化率を測定た。(1)でx>0.3の金属状態での電気伝導率にはTおよびT^2に比例する抵抗が現れ、xが大きいほどT^2項が大きくなる。(2)でCuが含まれるとlogTに比例する抵抗が現れる。これは近藤効果によるものであろうと思われる。本物質系は少なくとも2Kまたは6Kより高温で超伝導は示さない。(1)について全領域で磁化率はCurie-Weiss型の温度変化を示したが、パラメターの値からMoriya理論を適用すべきことがわかった。Ca_<1-x>Na_xPd_3O_4はネール状態にはならないが電子間の相互作用は反強磁性的である。電子間反撥は4-3eVであり、次元性を除くと電子物性は銅酸化物のそれに似ている。Pd^<+1>つまり(4d)^9の酸化物を合成するためSrPd_3O_4の還元も試みたが抵抗率は下がるものの明確に金属になったと言える物質はこの時点ではえられていない。
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