研究課題/領域番号 |
11640364
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 武郎 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00004424)
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研究分担者 |
松本 宏一 金沢大学, 理学部, 助教授 (10219496)
SHESHIN G. A. 東北大学, 大学院・理学研究科, 日本学術振興会外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | ^3He-^4He混合液 / 相分離界面 / 界面成長係数 / 超音波 / 核形成 / エネルギー散逸 / 量子核形成 / 相分離現象 |
研究概要 |
^3He-^4He混合液の^3He希薄相(d相)において、^3Heの過飽和状態を実現し、そこからの^3He濃厚相(c相)の核形成実験研究は、我々がこの10年間取組んできたものであり、本年度を以て漸くその全貌が明らかとなった。その結果、三つの温度域が存在することを明らかにした。即ち、(1)約10mK以下では臨界過飽和濃度(ΔX_<3,cr>)は温度に依存しなくなる、(2)約10mK以上約500mKまでではΔX_<3,crr>は温度と共に増大する、(3)約500mK以上ではΔX_<3,cr>は温度上昇と共に減少し3重臨界点に向かって零に近づく。(3)の結果は、古典的核形成と考えて理論的考察と良い対応を示す。(1)の結果は、エネルギーの散逸のない量子核形成と考えて理論的矛盾を生じない。 核形成過程においては、c相核と周囲の過飽和d相との間の界面の運動が重要となる。本研究においては、この界面の運動を定量的に捉えることを目的としている。 界面位置を連続的に移動させるという独創的アイディアを実現し、界面成長係数を実験的に求めることにはじめて成功した。実験は10MHzの超音波を用いて、10mK-150mKの温度域で行われた。 その結果、界面成長係数が、約70mK以下において興味ある温度変化を示すことを見出した。即ち、約70mKから温度降下と共に界面成長係数は著しく増大し、1/T^2の温度依存性を示す。この温度依存性並びに界面成長係数の大きさは、流体力学的近似での理論からは予測し得ないものであった。 冒頭に述べた核形成に関与する時間スケールは約10GHzと推定されている。従って、本研究の結果は上記(2)の結果が、エネルギー散逸を伴った量子核形成という考えで理解されることを強く支持するものと考えられる。
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